うまい消費税還付にはウラがある!?

投稿日: 2016/12/30 2:52:06

遅くなりましたが、今年最後のテーマになります。

先月のトピックスの最後でも触れたのですが、消費税の還付を受けるためにあえて消費税を納める義務がある事業者になった場合や一定金額以上の高額な資産を購入して消費税の還付を受けた場合、その事業年度(個人事業主の方は年)以後は注意が必要となります。

(1)課税事業者を選択して還付を受けた場合(平成22年度改正)

設立した事業年度など消費税を納める義務がない事業年度に、消費税を納める義務がある事業者になって(課税事業者を選択して)、その強制適用期間中(イメージとしては課税事業者を選択した事業年度開始の日から2年以内)に税抜100万円以上の固定資産等(調整対象固定資産)を購入した場合、原則として3年間は免税事業者となることや簡易課税制度の適用を受けることが禁止されます。

特に設立第1期から課税事業者を選択した場合、第1期が1年未満である場合は第3期まで強制適用期間となるため、第3期に税抜100万円以上の調整対象固定資産を購入した場合は、免税事業者となれない期間と簡易課税制度が適用できない期間がさらに2年間(第4期及び第5期)延長されます。税抜100万円以上なので、うっかり新車を購入しただけでもこのケースに該当する可能性が高くなるので注意が必要です。

(2)一定金額以上の高額な資産(高額特定資産)を購入した場合(平成28年度改正)

平成28年4月1以後、本則課税の適用期間中に税抜1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産を取得した場合は、原則として3年間は免税事業者となることや簡易課税制度の適用を受けることが禁止されます。ただし、平成27年12月31日までに締結した契約に基づき、平成28年4月1日以後に取得した場合は、適用の対象から除外されます。

(1)と異なり、課税事業者の選択の有無は問いませんし、調整対象固定資産だけでなく棚卸資産の取得も対象となります。

これにより、いわゆるマンション建築による消費税還付のスキームには大きな制限がかかることになります。

これ以外にも特定期間による納税義務免除の特例や特定新規設立法人の納税義務免除の特例があるため、専門家にとっても消費税は複雑なのです。安易な消費税還付には、その後制限がかかることを理解してください。

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