社会保険・労働保険はもっと利用できる

投稿日: 2016/10/21 9:55:14

その昔、社会保険労務士試験の学習をしていて驚いたのは、社会保険や労働保険の給付の種類の多さです。ただし、だまっていたらもらえません。社会保険・労働保険の給付は基本的に自分で請求しないと給付されない請求主義です。老齢基礎年金だって支給開始年齢に達したら自動的に支給が開始されるわけではなく、その年金を受ける権利がある人の請求に基づいて、厚生労働大臣が裁定します(裁定請求)。請求主義でないのは労災の傷病(補償)年金くらいですが、それさえも所定の届の提出が必要です。

とは言え、そもそも利用できる制度を知らなければ請求の仕様がありません。今回紹介するのは次の4つの保険給付です。①と②は健康保険給付で、③と④は雇用保険給付です。

①傷病手当金(療養中の生活保障)

業務外の病気やケガの療養で働くことができなくなり(本来の業務につくことができないイメージです)、給与を受けられない場合に支給を受けることができる療養期間中の生活保障のための給付です。

連続する3日を含み4日以上仕事を休んでいること等が条件で、1日あたりの支給金額はざっくり言うと「過去1年の平均月給÷30」の2/3、支給期間は支給開始日から1年6カ月の範囲です(1年6カ月分ではありません)。

また、一定要件を満たせば、資格喪失(退職)後もこの傷病手当金が支給されることがあります。

②出産手当金(産休中の生活保障)

出産のため産前産後に仕事を休み、給与を受けられない場合に支給を受けることができます。支給期間は出産日以前42日から出産後56日までの期間で、1日あたりの支給金額は傷病手当金と同じになります。

また、一定要件を満たせば、資格喪失(退職)後もこの出産手当金が支給されることがあります。

③育児休業給付金(休業期間における失業手当のイメージ)

1歳(一定の場合は1歳2カ月又は1歳6カ月)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業期間中が無給であっても安心して休めるよう、休業開始時賃金月額の67%が休業期間中は支給されます。ただし、育児休業開始から6カ月経過後の支給額は休業開始時賃金月額の50%になります。

支給対象者は男女問わず、育児休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上であること等が支給要件です。

なお、産休・育休期間中は本人も事業主も社会保険料負担が免除されます。意外と知られていないのですが、これも自動的に免除されるのではなく事業主の手続きが必要ですのでお忘れなく。

④介護休業給付金(休業期間における失業手当のイメージ)

育児休業給付金と同様の趣旨の制度です。対象家族を介護するために介護休業を取得した場合に、休業期間中が無給であっても安心して休めるよう、休業開始時賃金月額の67%が休業期間中は支給されます。

介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上であること等が支給要件です。

実際の支給要件はもっと細かく決まっているので、ここまで読んで自分は該当する!と思っても精査したら支給要件に該当していないことがあります。ご注意ください。

小規模企業共済掛金を「平成28年の」所得控除にしたいと検討されている方で「現金なし」で新規加入する場合、当事務所へは10月25日(火)までにお申し込みください!

お問い合わせ | 福家税理士・社労士・行政書士事務所